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聖書から学ぶ

聖書は「貧困」をどう捉えているか

  は仰せられる。
  「悩む人が踏みにじられ、貧しい人が嘆くから、
  今、わたしは立ち上がる。
  わたしは彼を、その求める救いに入れよう。」
                  詩篇 12篇6節

このページを作るきっかけ

基礎作業

ステップ1

聖書(新改訳聖書第3版)で、「貧」という漢字が使われている箇所は、旧約聖書で149箇所、新約聖書で42箇所ある。ここから、どのような原語が使われているかを調べた。

ステップ2

日本語訳で「貧」の字を使って翻訳されているヘブルの単語は、ストロングという辞書の番号による区別だと12種類ある。ヘブル語では、以下の言葉が翻訳で「貧」という語が使われていた。(頻度の多い順番)

原語読み意味主な訳語strong#回数
עָנִיanipoor, week悩む者、貧しい者604177
עָנָוanavpoor, afflicted, humble, meek貧しくある603520
עֲנָהanahpoor貧しい者60331
אֶבְיוֹןebyonwant, needy, poor貧しい3461
דָּלdalto be low, hang down貧しい、寄るべのない180047
רוּשׁrushto be in want or poor貧しくある732624
מַחְסוֹרmachsora need, thing needed, poverty不足427013
יָצַרyatsarbe distressed, be narrow狭められる333410
דַּלָּהdallahhair, the poor貧民、(髪)18038
רֵאשׁresh or rishpoverty貧しさ73897
מוּךmukto be low or depressed貧しくなる41345
מִסְכֵּןmiskenpoor貧しい45424
סָכַןsakanto incur danger, be poor貧しい者55332

ステップ3

上記の作業でヘブル語で「貧しい」という意味の単語は出尽くしていると思われるので、今度は、日本語に翻訳する時にどのような訳語を当てられているか、また、どのような文脈で使われているかを一覧にしてみた。そして各聖句を次の7種類に分けてみた。(区分はおおよそです)

:神の命令、:神の約束・神への確信、:信仰者の神に対する祈り

:人間の主張、:神に背く人々の行い、:箴言的言及、:それ以外

「箴言」については、区分けがかなり難しく迷った。再検討の余地がかなりあると思われる。

この分類作業の中で上に述べた「きっかけ」のテーマを考察するにふさわしい単語は、のついている単語と聖句であり、それは上の表の上から7段目までと下から3段目の muk(レビ記の中だけ5回)であると思われる。

ステップ4

書名毎の出現頻度を表にしてみた。

書名合計anianavanahebyondalrushmachsormuk
Gen000000000
Exo510022000
Lev920002005
Num101000000
Deu1240070010
Jos000000000
Jud400001030
Rut100001000
1Sa,2Sa910013400
1Ki-2Ch000000000
Ezr,Neh000000000
Est100010000
Job1961066000
Psa7230110235210
Pro518004151680
Ecc300000200
Sol000000000
Isa26124055000
Jer,Lam710042000
Eze740030000
Dan100100000
Hos,Joe000000000
Amo1212054000
Oba-Nah000000000
Hab110000000
Zep311001000
Hag000000000
Zec440000000
Mal000000000

観察・気付き

  1. 出現頻度の表から、詩篇が最も多く72回、ついで箴言の51回、以下イザヤ書:26回、ヨブ記:19回となっている。逆に、創世記には一度も用いられず、また、列王記からネヘミヤまでの間では一度も使われていないのには驚いた。
  2. 出現回数から、小預言書の中では、アモス書が重要な預言書であることが分かる。
  3. ヨブ記では、誰の発言であるかを調べてみる必要がある。ヨブが自分の義を主張する中で、単に殺人、強盗、窃盗などの「犯罪」を犯さないだけでなく、社会的に弱者にも配慮してきたという文脈の中で使われているとしたら注目に値する。
  4. 言葉の種類、回数だけでなく、新約聖書の中にも引用されている重要な聖句に注目する必要がある。例えば、民数記12章3節「さて、モーセという人は、地上のだれにもまさって非常に謙遜であった。」、イザヤ61章1節「神である主の霊が、わたしの上にある。【主】はわたしに油をそそぎ、貧しい者に良い知らせを伝え、心の傷ついた者をいやすために、わたしを遣わされた。」。ゼカリヤ9章9節「シオンの娘よ。大いに喜べ。エルサレムの娘よ。喜び叫べ。見よ。あなたの王があなたのところに来られる。この方は正しい方で、救いを賜り、柔和で、ろばに乗られる。それも、雌ろばの子の子ろばに。」など。

旧約各書から

モーセ五書

モーセ5書から下記のことが言える。

制度的な仕組み

  1. 7年毎に負債の免除をしなければならない。・・「そうすれば、あなたのうちには貧しい者がなくなるであろう」(申命記15章1~4節)
  2. 50年毎に「ヨベルの年」が設けられている。土地の返却、奴隷の解放などをしなければならない。(レビ記25、27章)

社会全体として配慮すべきこと

社会的に弱い立場の人々に対して配慮しなさいと何度も何度も語られる。

  1. 「みなしご、やもめ、在留異国人」に対して配慮せよ
  2. 「あなたは耳の聞こえない者を侮ってはならない。目の見えない者の前につまずく物を置いてはならない。あなたの神を恐れなさい。わたしは【主】である。」(レビ記19章14節)
  3. 貧しい者から利息を取るな。貧しい者に金を貸すときには担保を取ったままで一日を終えてはならない。(申命記24章12,13節)
  4. 貧しい者への賃金はその日のうちに支払え。(申命記24章14,15節)
  5. 畑の作物を取り尽くすな、収穫の時に落ちたものは拾うな。収穫時に置き忘れた作物の束は取りに戻るな。それは在留異国人や、みなしご、やもめのものとせよ。(申命記24章19節)

背景にあること

  1. あなたがたも以前は奴隷の身として、虐待され、苦しめられ、過酷な労働を課せられていたではないか。(申命記26章7節)神はその叫びの声を聞かれ、あなたがたを救われた。
  2. 仕事をして収穫があるならば、あなたの手をわざを神が祝福されたのである。だから、あなたはむさぼらないで(ガツガツするな)神の命令を守れ。神があなたの手をわざをさらに祝福してくださる。
  3. 神を信じる民の間でこのことが守られるならば、他の国々に神の知恵と悟りを示すことになる。(申命記4章6節)

ヨブ記

詩篇から

イザヤ書

アモス書